美術の中のヴィーナス ウルビーノのヴィーナス展を楽しむ(概要)

第335回例会(2008年3月31日)

演題:美術の中のヴィーナス:「ウルビーノのヴィーナス」展を楽しむ

講師:渡辺晋輔,国立西洋美術館研究員


 渡辺さんのご講演は,ギリシャ・ローマ世界で成立したヴィーナス神話とそれに基づいたヴィーナス像が,ルネッサンスにおいてどのように再生したのか,ルネッサンスの芸術家たちが,いかに古代のヴィーナスを自分のものとしていったかのお話から始まりました。そしてティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」の源流がどこに求められるのか,作者がそのヴィーナスに現実感を与えるためにどのような工夫をしているのか,モデルは誰であったのか。そしてこの作品が後世にいかに大きな影響を与えたか,を沢山のヴィーナス像を示しながら語られました。実に興味深いご講演で,まだ展覧会をご覧になっていなかった参加者は,明日にでも見に行きたいと思ったのではないでしょうか。講演後には予想以上に沢山の幅広い質問が続出し,楽しい講演会となりました。(橋都)