イタリア経済-停滞の構造(概要)

第344回例会(2008年12月3日)

演題:イタリア経済-停滞の構造

講師:松本千城(まつもとちしろ)国税庁長官官房国際業務課課長補佐


 松本さんは2005年から2008年の間,在イタリア日本大使館経済班に勤務され,帰国されたばかりです。イタリアで見聞したこと,調査したことに基づき,1990年代のイタリアにおける経済停滞の要因を分かりやすく解説していただきました。その要因として(1)ローテク偏重の産業構造,(2)低い教育・研究開発投資水準,(3)強い規制,(4)零細な企業規模,が挙げられました。そしてすでに一人あたりGDPではスペインに追い抜かれているという衝撃的な事実も明らかになりました。講演後には質問が続出,じつに活発な会となりました。その中で,質問者のお一人からの「いくら経済が停滞しているといっても,イタリア人は生活をエンジョイしているではないか」という発言が,会員の気持ちを表しているように思いました。松本さん,どうもありがとうございました。なお会場の南青山会館,懇親会場の「ラ・ボエーム」ともにとても好評でしたので,今後,東京文化会館と合わせて,この会場も積極的に使うようにしたいと考えています。(橋都)