イタリア・ロマネスクの建築と芸術(概要)

第365回例会報告

・日時:2010年10月22日(金)19:00-21:00

・講師:池田 健二 美術史家・上智大学講師

・演題:イタリア・ロマネスクの建築と芸術

・場所:南青山会館2階会議室


 池田さんはご自分で撮影された美しい写真を多数示しながら、イタリア・ロマネスクの魅力を熱く語って下さいました。ヨーロッパ美術の中心は何といってもギリシャ、ローマ時代の古典美術からその復興としてのルネッサンス美術、さらにそれを受け継ぐアカデミズム美術であることは間違いありません。しかしロマネスクの建築には、それとは違ったモダニズムにつながるシンプルな美しさがあり、ロマネスクの彫刻や絵画には、それ以降のヨーロッパ美術とは全く違った素朴な、ときには飄逸な魅力が溢れています。こうした魅力は、古典美術に束縛されたヨーロッパ人よりも、日本人により受けいれられるはず、という池田さんの主張は多くの聴衆の心をとらえました。僕自身もこれまで、イタリアというとルネッサンス、バロックだという観念にとらわれすぎていたのではないかと反省しました。これからはロマネスク芸術の魅力もぜひ味わってみたいと思います。なお池田さんは来年3月から4月にかけて「リグリア・ロンバルディア、ロマネスクの旅」というツアーを企画されているそうです。ご興味のある方は毎日新聞旅行社03-3213-4760にお問い合わせ下さい。(橋都)