欧州債務危機(概要)

第377回例会報告

・日時:2011年11月17日(月)19:00-21:00

・場所:東京文化会館4階大会議室

・講師:古澤 智裕 

・演題:欧州債務危機


 東京経済大学の藤沢房俊教授のご講演を予定していましたが,先生が入院されたため,急遽講師と演題を変更・選定することになりました。急なお願いにもかかわらず,ご講演を準備し,見事なお話をして下さった野村アセットマネジメント・経済調査部,シニア・エコノミストの古澤智裕さんにまずは御礼を申し上げたいと思います。演題は「欧州債務危機」です。ギリシャの債務危機に端を発したヨーロッパの債務危機は,EU中央銀行とドイツ,フランスを中心とした大規模な介入にもかかわらず,まだ収束の気配が無く,それどころはイタリアにも飛び火をして,ついにベルルスコーニ首相の辞任に至ったことは,どなたもご存じと思います。古澤さんは,GDPに関しては,ユーロ圏全体のわずか2.6%を占めるに過ぎないギリシャの債務危機が,なぜEUの存続を危ぶませるほどのインパクトを持つに至ったかを,多数のグラフや図表を駆使して,分かりやすく説明して下さいました。この限られたスペースで説明することは困難なのですが,各国の財政赤字だけではなく,金融の健全化のために規定されている,ユーロ圏の銀行の自己資本比率の縛りが,ジレンマを生んで,この債務危機への対策を難しくしているということです。しかしギリシャがEUを離脱することも,EUが崩壊することもなく,ヨーロッパは今後もさらに一体化を強めて行くだろうというのが,古澤さんの読みです.われわれもイタリア新内閣の動向に注目して行きたいと思います。 (橋都)