イタリア中世美術のたのしさ -シチリアと南イタリアの古寺をめぐる-(概要)

第388回例会

・日時:2012年10月25日(木)19:00-21:00

・場所:東京文化会館4階大会議室

・講師:金沢 百枝 東海大学准教授

・演題:イタリア中世美術のたのしさ -シチリアと南イタリアの古寺をめぐる-


 イタリア研究会の第388回例会が開かれました。講師は新潮社・とんぼの本で,美しいイタリア古寺巡礼シリーズを出版されている東海大学文学部准教授の金沢百枝さんです。金沢さんは東京大学の理学部に入学して,植物学の研究をされて,その後に美術史に転向し,何と理学博士と文学博士の2つの博士号をお持ちという俊英です。ローマ帝国が滅亡した後のヨーロッパが,ローマ帝国から何を受け継いだのかという大きな問題意識から,ロマネスク美術を研究されています。昨日はパレルモの王宮礼拝堂のモザイクと,オトラントの教会の床モザイクを中心に,ロマネスク美術の起源がどこにあり,その魅力がどこにあるのかを熱く語って下さいました。とくに日本では,これまで中世は暗黒時代と考えられてきましたが,ロマネスク美術には,受け継いだ技術や様式を自在に自分のものとする自由闊達さと,遊び心があり,楽しいものであることが,参加した皆さまにはよく理解できたのではないかと思います。イタリアに行って見るべきものがまた増えたと思われた方も多かったのではないでしょうか。金沢さん,ありがとうございました。11月22日には同じとんぼの本から「イタリア古寺巡礼・シチリア→ナポリ」が出版されるということですので,楽しみです。 (橋都)