ラファエロの芸術- -展覧会によせて(概要)

第393回例会

・日時:2013年3月18日(月)19:00-21:00

・場所:東京文化会館4階大会議室

・講師:水野 千依 京都造形大学

・演題:ラファエロの芸術:展覧会に寄せて


 イタリア研究会第393回の例会が開かれました。現在国立西洋美術館で開かれている「ラファエロ展」にちなんだ「ラファエロの芸術:展覧会によせて」という演題で,講師は京都造形芸術大学教授の水野千依先生です。先生は今回の展覧会に出品されているラファエロの作品を中心として話を進められましたが,師匠であるペルジーノの影響が著名であった初期の作品から,ルネッサンス芸術の美の概念を確立したとも言える中期の作品,そして複雑なイコノロジーを含み,またマニエリスムへ一歩踏み出したとも見える晩年の作品までの,ラファエロの芸術の進展を分かりやすく説明してくださいました。また今回の展覧会でもっとも注目を集める作品「大公の聖母」については,オリジナルと修復との関係,とくに最近では,オリジナル絶対主義への疑問が投げかけられているという傾向についてもお話しくださいました。大変充実した講演で,まさにあっという間の100分間でした。懇親会でも,絵を見る視点がこれまでとは変わった,という感想が多くの参加者から寄せられました。水野先生ありがとうございました。 (橋都)