アルゼンチンのイタリア人−マローネとヴィタ=フィンツィ(概要)

10 月例会(424回)
・日時:2015年10月30日(金)19:00-21:00
・場所:東京文化会館4F大会議室
・講師:土肥秀行氏(立命館大学文学部准教授)
・演題:アルゼンチンのイタリア人―マローネとヴィタ=フィンツィ

イタリア研究会第424回例会が開かれました。講師は立命館大学文学部准教授の土肥秀行さん、演題名は「アルゼンチンのイタリア人−マローネとヴィタ=フィンツィ」でした。
僕たちがイタリアとアルゼンチンとの関係を最初に知るのは「母をたずねて三千里」のマルコ少年の行動によってではないかと思います。じっさいアルゼンチンにはスペイン系住民の数よりもイタリア系住民の数の方が多いのだそうです。土肥さんは、その中でゲラルド・マローネとパオロ・ヴィタ=フィンツィとくに前者を中心に話をされました。父親がブエノスアイレス大学の教授であったマローネはこの地で生まれ、ナポリの高校、大学で学びました。下井春吉とも関係が深くナポリの文壇に留まらず全国的に名声を得ていましたが、反ファシストを貫きブエノスアイレスに戻りました。そして戦後、訪問先のナポリで客死しています。
土肥さんは、アルゼンチンにおいてイタリア系がマイノリティではないために、逆にアイデンティティを保ちにくいこと、イタリア語とスペイン語との近縁性から、あえて学ばなくてもある程度は理解できることから、イタリア語教育が必ずしも盛んではないことを指摘し、そうした文化的背景の中での、イタリア系文化人の立場の難しさを語ってくれました。また19世紀から20世紀にかけて経済的に発展し、現在は経済が停滞しているために保存されているブエノスアイレスの街の独特の魅力についても話をされました。
僕たちが知らなかったイタリアとアルゼンチンとの関係について、参加者は目を開かれたことと思います。土肥さん、ありがとうございました。(橋都)