ぺルゴレージとの空想的遭遇(概要)

第366回例会報告

・日時:2010年11月17日(水)19:00-21:00

・講師:ダリオ・ポニッスィ(騎士)

・演題:ぺルゴレージとの空想的遭遇

・場所:東京文化会館4階大会議室


 今年はイタリアの作曲家,ペルゴレージの生誕300年です。日本ではさすがにメンデルスゾーン(昨年生誕200年),ショパン(今年生誕200年)ほどの盛り上がりがないのですが,イタリア研究会として取り上げないわけにはいきません。というわけで,昨日のイタリア研究会第366回例会の演題は「ペルゴレージとの空想的遭遇」でした。講師は,オペラ演出家,俳優,歌手,エッセイストとして多彩な活躍をしているダリオ・ポニッスィ氏(カヴァリエーレ)です。ダリオさんは,この26歳で亡くなった知られざる作曲家の生涯と作品について,熱く語ってくれましたが,とくに彼がモーツァルトに与えた影響について,2人の作品を聞き比べながら,その影響の大きさを指摘されました。たしかにモーツァルトの「レクイエム」とペルゴレージの「ミゼレーレ」,モーツァルトの「魔笛・序曲」とペルゴレージの「シンフォニエッタ」の類似性は驚くべきもので,モーツァルトがペルゴレージを敬愛していたことを聴衆に納得させるだけのものがありました。さらに,ダリオさんは,かの有名な「ニーナの死」をギターの弾き語りで熱唱して喝采を浴びました。また最後には,世界でも初公開という,ペルゴレージの在世中に描かれた可能性のある,世界唯一の彼の肖像画候補までが登場して,聴衆をあっと言わせました。公演後の質問では,「モーツァルトとペルゴレージが,フリーメーソンを介してつながっていた可能性」や「ペルゴレージのオペラはナポリ方言で書かれたのか,イタリア語で書かれたのか」など,的確で鋭い質問が続出し,ダリオさんも驚きながらも,それに答えるのを楽しんでいたようでした。ダリオさん,楽しい充実したお話をありがとうございました。(橋都)