世界を魅了するイタリアファッション(概要)

第368回例会報告

・日時:2011年1月14日19:00-21:00

・講師:フランチェスコ・フォルミコーニ イタリア商工会議所会頭

・演題:世界を魅了するイタリアファッション

・場所:東京文化会館4階大会議室

 

 今回の講師は、在日イタリア商工会議所会頭であり、アルマーニ・ジャパンの副社長でもあるフランチェスコ・フォルミコーニさんでした。タイトルは「世界を魅了するイタリアファッション」というとても興味をそそられるもので、多くの会員の参加が予想されましたが、事実、多数の女性会員が参加し、講演の始まる頃には席はほぼ満席となりました。講演の内容は最初にフォルミコーニ氏が会頭を務める在日イタリア商工会議所の説明から始まりました。在日イタリア商工会議所はイタリア大使館や貿易振興会などとも協力してイタリアと日本のビジネスの拡大化に大きな役割を果たしています。またセミナーやアペリティーボなどのユニークな活動を通じて会員数を増やすように努力しているとのことです。次に本題のイタリアのファッション業界の話に移り、まずイタリアの輸出額の推移の説明がありましたが、ここ数年不景気の影響もあり、イタリアからの輸出全体の落ち込みと共にファッション関連の輸出も落ち込んで来ており、厳しい状況が続いているとのことです。ファッション関連の企業の規模は小さく零細・中小企業並みで、その企業数も従業員数も減ってきているとのことです。ファッションの歴史はローマ時代からあり、身分によって身に付けているものも違っていたそうです。時代が下り東ローマ帝国、そして中世の時代、ルネッサンス期にイタリア・デザインが誕生しました。イタリアファッションの発祥はその大半が北部イタリアに集中しています。19世紀の産業の発展と共に織物産業として、羊毛、コットン、絹を使った洋服が製造され、アクセサリーとしてアイ・ウエアー、ジュエリー、革製品などが生み出されました.有名なところでは、コモがネクタイ、プラートがアパレル、ボローニャ、フィレンツエが皮製品、アクセサリー、マルケ州が靴といったところです。戦争の後、イタリアファッションブームのスタートとなり、グッチ、フェンディ、ブルガリ、サフィロ、エミリオ・プッチと言った有名ブランドが次々に誕生しました。今ではイタリアの有名ファッションブランドは数え上げればきりがないほど数多くあります。知っているところでも、グッチ、ジョルジョ・アルマーニ、ヴァレンティーノ、フェンディ、トッズ、マックス・マラ等々,最近では、生産コスト高という点を補うために生産の海外シフトも加速されているとのことです。また最近はM&Aにより、イタリアの有名ブランドがフランスのLVHMグループや、P.P.R.グループの参加に入るという現象も起きています。最近は日本の消費者も変わって来ていて、フォルミコーニさんの分析では、①ヴァリューを探し求める。②家で多くの時間を過ごす。③異なった方法で商品を買う。④健康と環境に配慮するといった行動傾向から、「時間を節約するためにお金を使う」から、「お金を蓄えるために時間を費やす」といった新しいパターンに変化しているとのことです。そのためにユニクロやザラ、ギャップと言ったファースト・ファッションと呼ばれるブランドが今の日本の消費者に適していると見ています。講演後の質疑応答では、「なぜ南部からイタリアファッションが生まれないのか。」「なぜファッションの有名な国がイタリア、フランス、スペインといった南欧に集中するのか」といったユニークな質問が寄せられ、大いに盛り上がりました。フォルミコーニさん、どうもありがとうございました。(市井)