ベルルスコーニ現象:イタリア戦後政治の終結と民主主義の危機(概要)

第371回例会報告

・日時:2011年4月22日(金)19:00-21:00

・講師:松浦一樹 読売新聞社元ローマ特派員

・演題:ベルルスコーニ現象:イタリア戦後政治の終結と民主主義の危機


 イタリア研究会第371回例会が開かれました。講演に先立ち,今回の東日本大震災の犠牲者に黙祷が捧げられた後,会が始まりました。講師は昨年まで読売新聞ローマ支局にお勤めで,現在は英字新聞部の主任を務める松浦一樹さんです.演題名は「ベルルスコーニ現象:イタリア戦後政治の終結と民主主義の危機」です。この演題名はいわく付きで,講演をお願いした時に,一度はこの題名に決まったのですが,例会期日が4月になったため,それまでベルルスコーニ政権は持たないだろうと,別の題名に変更しました。ところがあに図らんや,彼がしぶとく延命しているために,元の題名にもどったという次第です。さて松浦さんのお話は,記者会見場でベルルスコーニが発するオーラの話など,現地で記者をされていた松浦さんならではのビビッドな印象も含めて,なぜ彼がスキャンダルにまみれながら,ヨーロッパでもトップの人気を保っているのかを,彼の生い立ち,手法,戦略などから分かりやすく解説してくれるものでした。結局は彼の最大の特徴は,史上初めて国中のメディアを手中に収めた権力者であることで,これをネオ・ファシズムと見るかどうかは,今後の経過を見なければならないが,それに関して重要なのは,北部同盟とフィーニ党首との関係ではないかということ,われわれがイタリアを見る時には,いくら批判はあっても,この国がベルルスコーニを支持している国であるという観点も忘れてはならないということが強調されて,講演は終わりました。講演後には質問が続出して,時間が足りなくなるほどで,例会後の懇親会でも,松浦さんを中心に,遅くまで議論が花咲いていました。松浦さん,本当にありがとうございました。(橋都)