支倉常長の旅,肖像画の謎(概要)

403回例会

・日時:2014年1月17日(金)19:00-21:00

・場所:東京文化会館4階大会議室

・講師:石鍋 真澄 成城大学

・演題:支倉常長の旅,肖像画の謎

 

 イタリア研究会第403回の例会が開かれました。演題名は「支倉常長の旅,肖像画の謎」で,講師は成城大学教授である美術史家の石鍋真澄先生でした。支倉常長が,伊達政宗の命を受けてヨーロッパに向けて,牡鹿半島の月浦を出航して昨年で400年でした。それを記念して,さまざまな催しが行われましたが,じつはこの慶長遣欧使節団については,資料が少なく,分からない点も多いのです。それは使節団が送られたのが,家康によるキリスト教禁教令の前年というきわめて微妙な時期であり,帰国した時にはすでに日本は鎖国へと向かっており,諸手を挙げて歓迎されたわけではなかったという事情によります。石鍋先生は,豊富なスライドで支倉の旅をたどるとともに,彼の置かれた微妙な立場,その中で誠実に任務を全うしようとした姿を生き生きとよみがえらせてくれました。また仙台市とローマにある彼の肖像画について,その作者を同定するとともに,とくに仙台市の肖像画に見られる特殊性について,解説をしてくださいました。当日は支倉常長の末裔に当たる支倉さんも仙台から駆けつけてくださり,講演会の後の懇親会でも,遣欧使節団について,また東西文化交流について,遅くまで話の輪が広がっていました。石鍋先生,ありがとうございました。 (橋都)