ヴァチカン図書館の概要と日本との交流の歴史について(概要)

12月例会(438回)

・日時:2016年12月2日 (金) 19:00-21:00

・場所:東京文化会館 4F大会議室

・講師:Silvio VITA氏 (京都外国語大学教授)

・演題:Vatican図書館の概要と日本との交流の歴史について

 

12月2日(金)に第438回イタリア研究会例会が行われました。講師は京都外国語大学教授のシルヴィオ・ヴィータさん、演題名は「ヴァチカン図書館の概要と日本との交流の歴史について」でした。ヴァチカン図書館は美術館とは違って一般の人が立ち入る事ができず、限られた数の研究者だけが立ち入る事の出来る場所です。ヴィータさんは資料の調査・整理の目的でヴァチカン図書館に出入りを許されるようになりました。とくに20世紀の日本における布教と、それに関連して得られた古文書の調査を行っています。

 

ヴァチカンに図書館と呼べる施設ができたのは15世紀教皇ニコラウス5世の時代で、そこには500冊の写本があったと記録されています。さらにシクストゥス4世がコレクションを充実させ、シクストゥス5世が1590年頃に「新図書館」を建設して現在の姿に近くなりました。この頃にはほぼ現在に近い「世界」という認識がヨーロッパ人の間にも拡がり、ヴァチカン図書館でも世界中のあらゆる地域から書籍を収集するというミッションが自覚されるようになったという事です。それを象徴するのが新図書館の壁画で、世界中の文字とその発明者、歴史上の有名な図書館が描かれています。

 

ヴィータさんがとくに注目している日本関係の資料がマレガ・コレクションで、宣教師のマリオ・マレガが20世紀初めに、主に大分で収集した古文書でキリシタン関連の文書として貴重な物だという事です。また多くの日本人がその発見を期待している、天正少年使節団がヴァチカンにもたらしたとされる「安土城屏風」については、ヴィータさんはヴァチカン図書館で今後発見される可能性は低いという見解でした。日本人もかなわないほどの滑らかで美しい日本語で、博学ぶりを披露してくれたヴィータさん、ありがとうございました。(橋都)