ヴェルディのオペラ:ヒロインの魅力 (概要)

4月例会(442回)

・日時:2017年4月21日 (金) 19:00-21:00

・場所:東京文化会館 4F大会議室

・講師:小畑恒夫 氏 (昭和音楽大学教授) 

・演題:ヴェルディのオペラ:ヒロインの魅力

 

イタリア研究会第442回例会が開かれました。

講師は昭和音楽大学教授・オペラ評論家で、日本ヴェルディ協会理事長の小畑恒夫さん、演題は「ヴェルディのオペラ:ヒロインの魅力」でした。

ヴェルディはロッシーニからベッリーニ、ドニゼッティを経て発展してきたイタリア・オペラに新しい魅力を付与しました。それは歌の魅力だけに頼るのではなく、ドラマ性を加え、より演劇的な方向へとオペラを変化させた事でした。それは彼の初期の作品のプリマ・ドンナ達の性格設定と歌唱とによく表れています。ナブッコのアビガイッレやアッティラのオダベッラがその代表ですが、彼女たちの性格や生き方も非常に力強くドラマティックですが、叫ぶような歌い方は暴力的にさえ感じられます。しかしヴェルディはそこに留まる事なくさらに探求を続け、ヒロインの内面を繊細な音楽で表現するようになります。それが中期の傑作として結実しますが、その代表が「イル・トロヴァトーレ」のレオノーラであり、「ラ・トラヴィアータ」のヴィオレッタなのです。そしてヴェルディは後期の作品群ではさらにオーケストレーションにも工夫を加えて、「ドン・カルロス」のエリザベートのような高みに達する事ができたのです。

小畑さんは、解り易い話とともに、選りすぐりのDVDによってヴェルディのプリマ・ドンナ達の素晴らしい歌唱を示して、ヴェルディのオペラの魅力を参加した会員に印象づけて下さいました。ありがとうございました。(橋都)